【書籍レビュー】上級国民/下級国民 分断はなぜ生まれたか
今回の記事は書籍レビューです。
「上級国民/下級国民」。いかにも炎上しそうなタイトルの本ですね。
読んでてかなり衝撃を受けたので、皆さんにも共有したいと思います。
若干のネタバレ要素もありますが、ぜひ最後まで読んでください!!
全体的に暗めです。
「下級国民」はなぜ生まれたか
2019年4月、その言葉は突如脚光を浴びた。
東京・池袋横断歩道で起きた凄惨な交通事故。
31歳の母親と3歳の女の子が87歳の男性が運転する車にはねられて死んでしまった。
あまりにも痛ましく、そして憤りを覚える事件だった。
即座に逮捕されるかと思われていた男は一向に逮捕されない。
「きっと元高級官僚の”上級国民”だからに違いない!!」と
ネットでは声高らかに叫ばれた。
”上級国民”というネットスラングの大拡散が始まったのである。
近年、日本ではこの上級/下級という「分断」が”見える化”してきている。
なぜこのように分断が表面化してきてしまったか?
それは1990年代のバブル崩壊に端を発した。
「リストラ」旋風が日本を席捲していたが、
実は当時の中高年の雇用は守られていたのだ。
平成の日本の労働市場は、若者(とりわけ男性)の雇用を破壊することで
中高年(団塊の世代)の雇用を守ることで、なんとか成立していたのだ!!
「分断」の始まりである。
様々なデータを用いてこの事実を本書では実証している。
「モテ」/「非モテ」の分断!?世界を揺るがす新テロリズムとは?
男と女では「性愛を獲得する方法」、すなわち「モテ」の仕組みが異なる。
オスは多くのメスに偽の愛を振りまくことで、そしてメスは優秀なオスを”選別”することで後世に命をつなごうとする。
これは僕たちの遺伝子に刻み込まれた一種の"コード"だ。
現代、多くの国では自由恋愛主義が当たり前になっているが、
このコードに基づき、「下級国民」、すなわち「持たざる者」、「モテない者」は
優秀ではないゆえに異性からの性愛を獲得することがままならないというのだ。
「イケている男(上位10%)が性的に魅力のある女(90%)を独占している。」
そのような世界観を持ち、過激な暴力を振りまくコミュニティがアメリカに生まれた。
「インセル」だ。
インセルについてはこちらで詳しく解説されている。
人によっては憤慨してしまうかもしれないが、このようなマインドを持ち合わせた
コミュニティはアメリカだけはなく、いろいろな先進国で生まれてきている。
日本も例外ではない。
ネットを中心に所謂「ミソジニスト」たちがかなり増えてきているのだ。
日々女性蔑視の言葉があふれかえっている。
モテの分断である。
確かに、現代は事実上の一夫多妻制だ。
事実、イケている男は何度も結婚をし、離婚をし、愛を振りまく。
かたや女性のほうはというとシングルマザーとなり、ワンオペで育児を強いられる、
というケースが多くなってきている。
このような事実を詳らかに本書では説明している。
私自身女性にモテないので、彼らの言い分にも幾分共感できるものの、
モテないのは自分がどれだけ努力できるか、そして生得的な部分もかなり関与していると思っているので、自身のモテなさを女性のせいにして憎悪し、テロリズムに走ってしまうのはどうかと思う。
別にモテなくてもいいじゃない。
別に女性といっしょになるのが幸せとは限らない。
世界を揺るがす「上級/下級」の分断 今まさに起きていること
先ほど述べたように、「上級/下級」の分断は日本だけで起こっているのではなく、
今や多くの先進国で起こっている。
フランスの黄色ベストデモ、アメリカのトランプ旋風、イギリスのブレグジット、
イタリアの左派連立政権。。。
それぞれの国に共通していることは何か??
そして2045年に迎えるとされるシンギュラリティ(技術的特異点)により
世界はどうなっていくのか。かなり背筋がゾクゾクするような内容だ。
また、「教育の本質」についても本書では言及されている。
「教育」=「格差拡大装置」
というではないか!!!
この等式を成立させるロジックを是非読んでほしい。
最後に
いかがでしたか?
レビューだけでもかなり衝撃的な内容だったかと思います。
この分断はもはや他人ごとではなく、我々の身の回りで起こっていることです。
私たちにできるのは、「下級」に落ちないように、あるいは「下級」から這い上がれるように努力することだけです。
身なりを整え、筋トレをし、節約・投資・副業にはげみましょう!